Equityと社会包摂と…

サカナクションのONLINE LIVE SAKANAQUARIUM アダプトが土日に開催され、今日からアーカイブ配信になっております。ずーっと聴いています。ここちよすぎてどうにかなりそうです。

 

ということで、本日は11月26日(金)にあるイベントの案内を。

株式会社エンパブリック代表の広石さんにお声がけいただいた、とっても楽しみなイベントがあるんです!

英国のブリムリ・バイ・ボウ・センターをヒントに地域のおける健康とまちのつながりを、広石さんと家庭医の藤沼先生と一緒にお話させていただきます。

広石”さん”なんて言っていますが、今年から通っている立教の21世紀社会デザイン研究科で、前期に講義を受けていた先生なんです。コーポレートや協働、コレクティブインパクトなどの事例を通して、コミュニティマネジメントを学ぶ内容で、グループワーク中心の内容がすごく面白くて毎回楽しみにしていた講義でした。

夏休みに修論の副査の先生とお話しをしていた時に、広石先生のブリムリ・バイ・ボウ・センターのお話は面白いよって聞いたんです。その後、リディラバのフィールドアカデミーでお会いした時にこのことを言ってみたら、今度一緒にイベントやろうって言ってくださったのが、今回の発端でした。

先生にお声がけいただけるなんて、思ってもいなかったので、すっごく嬉しかったです。

▼イベントの概要はこちら。申し込みもこちらから!

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さて、ブリムリ・バイ・ボウ・センターに関して少しお話をしておきます。

ブリムリ・バイ・ボウ・センターの特徴の1つとして、独自のヘルスケアセンターを持っていることがあげられます。英国の医療は、NHSという国民保険サービスで行われているため、このようなセンターが独自でヘルスケアセンターを持つことは容易ではないことなんです。活動の結果として1997年に開業することができました。

この年はブレア政権が誕生した年でもあります。

 

 

ちょっとブレア政権の話をしておくと、ここでポイントになるのが社会的包摂という概念です。

社会的公正と経済的繁栄の両立を掲げて改革を進めたブレアの新労働党ですが、第3の道と言われていました。社会民主主義でもなく、新自由主義を掲げていたサッチャーに立脚するでもない、その中間の思想を持っていました。

新右派の自由の重視でもなく,旧左派の平等の重視でもなく,平等を社会的包摂(social inclusion),不平等を社会的排除(social exclusion)と表現したのがブレア政権でした。

社会的公正と経済的繁栄の両立という、二律背反のような2つの価値を組み合わせていて、社会的包摂に関連してインクルーシブなコミュニティの構築を重視していたのが第3の道の特徴と言われています。

ブレア政権は,市場の力を活用し,公民のパートナーシップによって相乗効果を発揮させるという新しい福祉の混合経済の政策を取りました。これをPPPs(Public PrivatePartnerships)と言い、日本でもこのような取り組みは行われています。ブリムリ・バイ・ボウ・センターも、このPPPsの取り組みの1つとして行われていました。

 

 

ブロムリ・バイ・ボウ・センターの背景も話をしておきましょう。
ブロムリ・バイ・ボウ・センターはロンドンの東に位置するブロムリ・バイ・ボウ地区にあります。
1984年、この地域に建つ閉鎖された境界に、アンドリュー・モーソンという牧師が派遣されたのが始まりでした。
当時、この協会の周辺にあるコミュニティは、廃墟となった住宅地の周辺に建設されていたスラムでした。教会から徒歩10分以内に50の言語と方言が飛び交っているような移民が沢山暮らす地区です。
長年に渡って政府が様々な施策を行いましたが、ほとんど効果がなかったと言われています。
ブロムリ・バイ・ボウ・センターが住民主導となったきっかけと言われている、あるエピソードがあるので紹介しますね。1990年代に教会のボランティアだった女性ががんに罹りました。2人の子どもと高齢の両親の世話に追われ、十分な治療が受けられなかったと言われています。その後、彼女は35歳で亡くなりました。これをきっかけに、ブロムリ・バイ・ボウのコミュニティの住人たちが活動をはじめたそうです。
葬儀を終えた教会関係者は地域住民に対して、教会を開放し、異教徒関係なく誰でも利用できる祈りの場にしました。その後、ブロムリ・バイ・ボウ・センターとして住民たちと一緒に「自分たちにとって必要なことは何か」など、対話を続ける場になりました。
コミュニティの再生を住民ニーズの視点から行い、政府を説得して住民と共に活動を行う場としてブロムリ・バイ・ボウ・センターはさらに開けていきます。今では、保育園、アートギャラリー、劇場があり、住宅を5千戸供給し、公的セクターだけじゃなくて、民間セクターとの連携も行っています。
これら全てが住民たちの自主運営で行われていて、ここの大きな特徴と言えます。
前置きが長くなりましたが、今回のイベントでは、ブロムリ・バイ・ボウ・センターのような場を日本でもつくれるのかって話が中心になりそうです。
大阪の西成のあいりん地区にある上田假奈代さんが代表を務める、ココルームが近い気もしますが、ここにはヘルスケアに関わる施設はありません。
僕も医療福祉領域を軸に地域住民と一緒に場づくりを行っています。公民のパートナーシップであるPPPsはとても興味がありますが、まだまだ日本では制約が多く、民のやりたいことがやれなくなってしまうのではないかって思います。詳しく調べた訳ではないので、あくまでも印象ですが。
最後に、広石さんのコラムからとても気になった内容があるので紹介しますね。
広石さんがブロムリ・バイ・ボウ・センターを視察した際にモーソン牧師が言っていた言葉です。

「住む場所を探している人がセンターの住宅相談窓口に来る。すると横に診療所がある。健康的な食事ができるカフェがあり、その横の相談所で生活相談にものってくれることがわかる。ある人はアートに興味があってきて、そこで起業家について知る。施策ごと、分野ごとに分けて施設をつくることに、いったい何の意味があるのだろう?」

医療や福祉を語る時、公平や平等を論じたがる。しかし、それは住民それぞれの多様性を無視してしまう危険性がある。ここにいる全ての人たちは、誰も“同じ”ではない。それぞれが人生経験を積み、違う人生を生き、違うニーズがあるからこそ素晴らしい。多様性を受け容れ、一人ひとりを見る。

そして、その人に必要なことを、政府から民間まであらゆる制度やサービスを調べ、その人が使えるように有機的に結び付けて提供する。それがこのセンターだ」

▼こちらから抜粋しています。

広石コラム,2020, https://note.com/empublic/n/nbfe82825563e
医療や福祉を語る時、公平や平等を論じたがる。」
僕は、この言葉がずっと頭から離れません。医療や福祉は公平や平等に論じるべきなのか、それともそうではないのか。その答えは今回のタイトルにしたEquityにありそうです。

▼最後にもう一度宣伝!11月26日のイベント申し込みはこちらから!

http://ptix.at/4WQrgl

 

では、イベント参加してくださいね!

また〜!!!