【学会発表】日本在宅医療連合学会地域フォーラム
2022年10月22日、23日
日本在宅医療連合学会 第4回地域フォーラムin京都
演題名「医療・福祉と人とまちの心地よい関係-カフェを起点とした場づくりから連携・協働を再考する-」
発表者:糟谷明範
抄録
【はじめに】
急速にすすむ少子高齢社会・人口減少社会に対し、政府はわが国の目指す社会モデルとして、「地域共生社会」を掲げた。「我が事・丸ごと」の考え方を打ち出し、そこには、地域住民の強い主体性や様々な分野の連携・協働を通じた地域づくりに対する大きな期待が明確に示されている。一方,私たちが暮らす地域に目を向けると、健康、孤立、貧困、教育、環境など様々な問題が混在している。医療や福祉、自治体、市民団体などがこれらの問題を解決すべく動いているが、地域住民と連携や協働をしながら取り組めているとは言い難い。
そこで、本演題では、医療や福祉が地域で行う「連携」や「協働」とは何かを提案することを目的とした。私たちが、東京都府中市で行なっている地域コミュニティの場づくり「たまれ」の活動で得られた知見を、ネットワーク論を枠組みとして報告する。
【活動】
「たまれ」は医療や福祉、アート、食、教育、アパレル、カフェなどがあり、地域の人々と一緒につくり続けているコミュニティの場である。2014年から活動をはじめ、私たちが運営する訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、カフェを起点とし、地域の人たちの緩やかな関係を構築する場づくりを行なっている。
【考察】
人と人とのつながりをつくり、連携や協働を進めていくことは、私たちが暮らす社会にある課題を解決する手段になる。しかし、1つの課題を解決するために仕組みやつながりをつくればつくるほど、その枠からはみ出る人が出る。目の前の課題を解決しようとすぐに答えを出すことも大事だが、医療や福祉と地域、住民の境界線上にある価値を時間をかけて擦り合わせる作業も、地域の連携や協働を考える上では大事である。このように、医療や福祉と地域、住民の間にある「ちょうど良い関係」や「ちょうど良い距離」を考えたネットワークづくりが必要であると考えられた。